丑寅日本祖傳語部

一章

夫れ宇宙未だ無ける幾百億年の大古に、日月星も是れ無くただ暗黒の闇に上下左右なく、塵立物質もなかりける混沌の無界に、 暗の批重になれる無質なる輕重の間に圧縮力量の密度に満度ぞ達するや、針先の如き火起ぞ發火せるや、暗なる密度に誘爆し、 大音響と倶に眞紅の光熱が果無き暗黒を焦熱し、無限の暗界を大爆烈ぞ光熱に焼き擴げたり。

そのあとに焼塵として遺れる物質ありて回轉の作動を起しけるに塊となり、小なるは大なるに併合し茲に星と塵雲、宇宙に漂うたり。その數幾兆億の星團と想定なく銀河と相成り、宇宙を創りぬ。吾等が住むるは日輪の引力軌道になる地星にて、月界は地星の引力に廻る衛星なり。日輪を廻る星は惑星とて、日輪は恒星と曰ふなり。かくして宇宙は成れりと曰ふ。地界は日輪の第三惑星にして日輪との距離に適當して、空水に満ちる星なりて、やがて生々萬物の誕生を得たり。

人の世に誕生せるは、生物類の進化にくりかえし今なる相とぞ相成ぬと曰ふ。世にある萬物は天地水の候に進化生存の篩に世襲ありて、進化に遅れたるものは滅亡せり。依て人類も亦世襲の候ぞ人の生息に進化の遅れては空しくも滅亡しける悲運の兆ありぬ。

ただ人は智識を究め生々の便を逆境に耐ゆるが故に地界の果なる辺境までも分布生息せるも、宇宙の異変には地界如きは一塵の如きものなりき。宇宙の地界、更には日輪とて人の想ふる神の創れるものに非ざれば、宇宙に異変起りてはその崩壊は露より脆きなり。依て人は神を夢幻に想定しけるも、無常は憑み難き一刻の願望なりと心に置きて過度なる信仰の迷信に堕ちるべからず、生々の道理を辨ふべし。

寛政丙辰八年七月二日
秋田孝季華押

二章

人生の生涯に於て心に安心立命の悟りなくば、たゞ光陰虚しく渡る耳なり。凡そ人に類して、人に齊しからず。たゞ生命は光陰に移されて、若きは老に堕ちて徒らにして露命をいかなる道の草にか落さんや、無常は忽ちに至り生死の中の善惡、往事の再び取捨も憑み難し。唯獨り黄泉に趣く耳なり。

己が滅後に遺るものは遺る者の邪見にぞ憐みにも隔つ耳なり。己れをば薄福少徳と自心過得せし者は、自然に生々せる鳥獣よりなほ陋しき渡世の輩なりと戒め置くものなり。生々は生々のうちに善種も惡種も己が心にて芽生ふなり。身は心に随はしむるなく、心を身に随しむべからず。

依て古きより神佛と曰ふ道の安らぎに求めて人は眞如實相の理を離れ求道し發願し、神佛の加護を願ふなり。忍ぶる邪道に誘はれず人師論師の理趣なき信仰に惑はず誘はれず、無我の境地に所逼を怖れず神佛の正法に求道しべし。

吾等が人祖より天地水をば神たるの得道に正法として是を荒覇吐神とて信仰の道とて求めたり。天なる宇宙の一切・地なる萬物の一切・水なる一切にあるも總てを荒覇吐神とて、信仰の眞理とて、その行願は天に仰ぎ地に伏し水に六根を清め稱ふるは、アラハバキイシカホノリガコカムイとてくり返し三禮四拍一禮の行なりせば、老若男女童に至るまでも覚へ易く、古代より欠なきは丑寅日本國の信仰なり。

此の信仰の創むる處は、はるけきシュメールの國カルデア民の發起せしものなり。彼の國人、國乱ありてアラビヤ・シキタイ・アルタイ・モンゴルを越え黒龍江を降り樺太に至り、更には渡島に至り東日流に渡りて地民の信仰に併せて荒覇吐神とて今に遺れる無上道の信仰に遺したるものなり。

寛政壬辰年八月二日
秋田孝季華押

三章

古き世より人は本末須く信仰の求道に安心立命を求めたり。生々安し事少なければ心は常にして明暗あり。依て信仰の諸行は正邪の教相渉れり。依て日進月歩に信仰の清濁は向を分つ。

安心立命に宗に迷へば法に尋ぬるも蹤跡なく、神佛の正法と思へき修習も多く錯りて、長時の苦を受く耳なり。心身は倶に惡道に堕て往修の積行もむなしく、歩むれど近遠に非ず正道の者との隔たりは天地の固を離れ、焉んぞ利鈍の行願齊しからず、染汚にぞ屬す。

依て多行の信仰及び布施の散財を以て爲せる信仰を脱し、ただ一向に崇拝に専念せる荒覇吐神の本願に歸順仕るこそよけれと正道に悟りてこそ心に安心立命の誠を得たりと悦び多く、生死の念も亦天命に安ずるの境にぞ相違す。

寛政壬辰八月四日
秋田孝季華押

四章

丑寅日本國は元は加州犀川なる三輪山に宮をなせる安毎氏、倭の蘇我鄕に移り住みてより、地の箸墓山を三輪山と稱し、倭の大王と相成りぬ。この地を古きより耶摩唯と稱し、磯城氏の地なれど蘇我氏の領たり。

安毎氏は姓を安倍とぞ攺めなして、地の擴きに渡り春日氏・巨勢氏・和咡氏・平群氏・物部氏・葛城氏・大伴氏・蘇我氏・天皇氏らを束ねて大王に推挙され、耶摩唯大王とて國治むるも、築紫より佐野大王・出雲大王と軍を併せて東征に趣きぬ。

是に應戦せるは耶摩唯大王安日彦大王にて、その弟・長髄彦王を富雄白谷なる膽駒山に挙兵せしむも、陸海より日向勢に三年の交戦に敗れ、安日彦大王倶に東國に敗北せり。更に坂東より丑寅日本國に至りて、地民の推挙にて荒覇吐大王と相成りて再興す。支那より晋民の落漂ありて、智勢に挙して子孫榮ゆ。

その武威を以て故地を奪回せしも大王、丑寅日本を離ることなし。依て大根子彦王、故地耶摩堆に留りて築紫勢を追討、更には出雲をも侵略せしむ。國を倭と攺め、天皇氏に併合して倭の大王となりけるは孝元天皇たりと曰ふなり。

丑寅日本國にては王居を宮澤に移しめ荒覇吐大王の領境、東海安倍川より地境を西海糸魚川に至るを東西の境とせり。是より北東を日本國と固定し西南を倭國とせり。依て荒覇吐神なる信仰ぞ大いに西國を覇せり。

今をして荒神と名付く處、荒覇吐神を祀る宮跡にして出雲大社・築紫の宇佐八幡・國東大元宮は何れも然なる名残りあるべく四拍を以て參拝せるなる。

寛政壬辰年九月
秋田孝季華押

五章

石塔山しるべ

秋田孝季華押

奥州東日流中山連峯石塔山大山祇神社之古稱は荒覇吐神社と曰ふ。安東氏東日流を放棄以来、聖地の庇護あらず。嘉吉三年癸亥二月、東日流飯積派立の住・和田佐馬之助に隱密庇護を申付たり。爾来和田家一族を挙げて是を祭祀を年毎に山護の労を盡し来たりぬ。

神域半里四方にて石塔澤に屬す。渓の水音あるべき處に安東一族の古墓ありて苔に五輪塔の埋むを見ゆ。四季折々に草華の絶えざる秘境にして歴史の深きを愢びぬ。古きは役小角・安倍賴良・安東一族・朝夷一族の古墓ありて明せぬ世襲の密神鎭座の神社なり。依て未だに神社遺物の人視にぞ閉して衆の挙祀ぞなかりける處なり。

和田家代々をして毎年なる九月の十九日に祭祀の護摩を修せり。石塔山なる修法文に曰く。

唵步布帝哩迦多哩怛他
 蘗多也
曩莫三満多没多南云鑁

寛政壬辰年八月
秋田孝季華押

コプト之神々

山靼波斯旅情記

寛政二年五月
秋田孝季
月旅㝍日記

日輪神 ラー
地尊 エルラシット
創造神 プタハ
地尊 アレキサンドリア
智惠神 トト
地尊 タニス
川之神 クヌム
地尊 ヘリオポリス
再生之神 ケプリ
地尊 ギザ
夕陽神 アテン
月神 パヌブタウイ
雌牛神 ホトホル女神
地尊 カイロ
鰐神 セベク
地尊 サッカラ
隼神 ホルス
地尊 ダハシュール
萬物創造神 アトウム
地尊 メンフイス
空神 シュー
地尊 カルーン
風神 テフネト女神
地尊 メイドウム
大地神 ゲブ
地尊 ファイユーム
天空神 ヌウト女神
地尊 ベニハッサン
正義神 オシリス
地尊 アシュムネイン
惡神 セト
地尊 テルエルアマルナ
豊穣神 イシス女神
地尊 アシュート
暑陽神 クヌムラー
地尊 アビドス
寒陽神 セベクラー
地尊 デンデラ
榮光神 アメン
地尊 コブトス
地獄神 アメミット
地尊 クセイル
法神 アロイリス
地尊 ワーデイハアマート
育神 ネフテイス女神
地尊 ルクソール
福神 ウシヤブテイ
地尊 エスナ
護神 スフィンクス
地尊 エドフ
山神 アルクルン
地尊 コムオンボ
宇宙神 ヌウト女神
地尊 アスワン
魂神 バア
地尊 フイラエ
精靈神 カア
地尊 アブシンベル
體神 アク
地尊 ナイル
草神 ヒース
樂尊 リュート
耕作神 アピス
樂尊 シストラム
冥神 ソカール
香尊 ロータス
眼神 ウジヤト
傳尊 アムドドウアト
獣神 アヌピス
蛇神 ウラエウスコブラ
蟲神 ケブリ
翼神 マアト
地大尊 コプト
鳥神 ベヌ
豹神 パネジエム
極樂神 イアル
右之他コプト神二千之數崇有。

コプト十八ファラオ

ナルメル王
ジエセル王
スネフル王
フク王
カフラー王
メンカウラー王
ウナス王
ペピ王
メンチュヘテプ王
アメンエムハト王
ヤンウセルト王
アハメス王
トトメス王
ハトシェプスト女王
アメンヘテプ王
ツタンカーメン王
セテイ王
ラムセス王

コプト國、大河ナイル

大金字塔、コプト國