語板古板釋記
語板古板釋記 一
たいしたむがしのことだばて、いわきやまたもねじぎあそべのもりこあたど。そごさにしのうみがらしみでしがまねなたど。ごわだてきたてらどあそごでくらしたあで、あそべぞくてしなめこつだど。なでもこれどあ、つがるさとぎあせひのもどのくにこのどごねもふとあいねど、まこれどあおらけあせんぞたべねな。
したばてこのあどがらまんだきたふとどあったどこだひがしのうみがらでったらだいがたさまだのべごだのつんできたてらどあ、ぬかんぬっぷのつぼさきたはでこれどごとつごけぞくどなめこあつだど。これどのてきたいがだせまのしぱだの皮だのでからげたでったらだいがだではんみづもあったじぢやましこたまおきもであたど。
それさずぱどつできたものあせだんまどたねまどまのかへものであたばたてこぢさあがてみだどごあくいものこあなもねでまのかへものでろっとくてしまてまばあづがるごとでぎねでみなのはらさはなしてまたどこのまどあせいまのまのせんぞだどこのつぼけぞくどあどくそいぐねふてあそべぞくどがらものがんどしてなぼぽてもぶたしけでもあぱばいぺしてねげだりしとなねいぐねもであったど。
したばていぐねものどいぐねふてもこれどたいしたてきぎてうみがらしおとてものばぐねきたり皮でぬたどぎだのけりだのけふだのも肉どばぐねきたど。あそべぞくどあ石のまぎりつかてらじきつぼけぞくどあ砂がら砂鉄ふらって金道具こせでいたど。
まんじあだまのいやじあっぽけいでくでふとこあいいやぢああそべぞくだどしたはでいまでもづるしけごとつぼけつづてしべまこしてつがるさあそべぞくどつぼけぞくどいるごとねなたばて、なんねんもたでばびっきあよげまいるべ。
そごで西のほちやこしていたてらどあてっぺあったど。東のうみばだ西さいたやぢあせるほけそくのものどで、おやばみねふて老いいがりかすばれだど。このつぼけごとあらぞくてためこついで西のうみばだ秋田のほちやべづねなたてらどあ、あそべぞくのいがりかすでこれどのなめこあにぎぞくてよばいだどや。とつばれ。
えんぶんとりの二ねん二がつの四日
えるまのかだりべ かやわらのごんぞう
語板古板釋記 二
古代東日流大里は海洋にして、十三浦より平賀郡に到る處、入海なり。干満の引潮・満潮、その里を遠して干泻となり、亦浅き海となり、水鳥幾萬と渡り来たる處なり。
然るに、岩木山・八甲田山の相互に噴火なし、東日流の安東浦ぞ、底隆起なし大里と相成りぬ。古代よりの住人阿蘇辺族・津保化族あり。あそべが盛に住居せし阿蘇部族、この噴火にて數多く火石・火岩の底に殉じたり。通常は犬猿の仲なれど、津保化族能く阿曽部族を救へたり。
ホノリカムイの怒りは東西をして恕の焔をあげたるを、阿曽部族は多くの肉親を失いたる哀れなる相、自然なる災害に身を震はしばかりなり。爾来、阿曽部族・津保化族、心からなる睦をなして併合せるは悦ばしき哉。
かくして東日流安東浦、大里となり、果なき葦草原相なりぬれば、鳥獣またこの草原に相あつまりぬ。然なるところにまた、三萬餘の耶馬台族が移り来たれり。
この民ぞ、倭に耶馬台國を築き、五畿七道に王國をなせる主從なれど、築紫日向の侵領軍・佐怒王に敗れ、この地に落着せし一族なり。時同じける如く支那より漂着民あり。晋の君公子一族にて、耶馬台族と併合なし農耕をなせり。飢ゆなき稲作にて、阿曽辺族・津保化族ら是れに併せ、茲に信仰をも合せたり。耶馬台族が荒覇吐神にて晋民は□□なり。地民、阿曽部族の百神・自然神、津保化族なる天地水の三神、是を併せたるは荒覇吐神イシカ・ホノリ・ガコカムイと成れり。
國富て民多ければ、茲に一族の王を選びて安日彦、弟・長髄彦選ばれたり。依て髙倉を築き、聖なる石塔山にて即位の式を挙げ、荒覇吐王國ぞ誕生せり。
寛永甲子元年四月十日 藤井土佐
語板古板釋記 三
わがつがるふることのよにあらはばきのきみくにおこし、しろしめせるつがるよりひだかみのたみら、うみさちやまさちみづほのみのり、あきのひよりにおもけくほこねいがとうのいなほづつたれ、たみのふゆにこもれる白き米たかつきにもりて黒き米にてかみおみきをつくりなし、あらはばきかむいいしかかむいほのりかむいがこかむいにささげたまへき。
たみくさのかまどのひたゆまくのぼるはっぽのけむりてんなるかむいにとどろきてゆけるとしくるべとしのいやさかえませるよろこびまおす。
ほうぜいあらはばきかむい、ほうぜいいしかかむい、ほうぜいほのりかむい、ほうぜいがこかむい、ねがはくはひのもとのきみせんさいばんさいくにさかえますませ。
ことのよしをこよいなるいよまんてにふたしなささげまつらふ。たかくらのまへわけくらのまへ、あがたはららやのまへ、こうりのはららやのまへ、こたんおてなのまへにかむいまつりておろがむまつらうこそまもらへけくおろがむる。
あらはばきごみそ いそのちえ
あらたかやいしのとう
かみたまのいしがみいよとせのふるきおおかみあらはばきかむむい、てんなるいしかのかむい、ちなるほのりのかむい、みづなるがこのかむい、あらはばきのこらをたすけたまへとこそおろがみたてまつる。
あらはばきおしら みくにそと
あやにかしこきあらはばきのかむいいしかほのりがこ、おおみはしらのかむいにおろがみまつらふ。よみにましませるあらはばきのおやひとわれとかたらばや。なれがくちよせたきつみごやうらみごとおやつれびっきのつたへごとやつたへとどけむ。かたれやながたまをそつたへたまへやまおす。
あらはばきいたこ いまいづみきね
寛政五年八月十五日 秋田新兵衛
荒覇吐神具
音絃弓
